スーパーじいさんの話2
100歳近くまで生きたじいさんの話。
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じいさんは90歳を過ぎたころ、一度死にかけている。
半世紀通っていた床屋で倒れたのだ。
ほぼ無くなっている毛と肌のお手入れのために、その日もママチャリで数十分の馴染みの床屋へ行っていたじいさん。
突然心臓を抑えて倒れたらしい。
救急隊から息子(私の叔父)へ「AEDを使います」との連絡。
通常90歳を超えた超高齢者にはなかなか使わないらしいが、なんとうちのじいさん、一度では回復せず3度も使ったようだ。
「3回も使ってピンピンしているのが凄いです!ほとんどの場合体が耐えられないんです」
と後々医師に言われたのだが…。
「いやいや、それ言っていいやつなのか?」との疑問が湧かなかったわけではないが、ノーダメージでこの世に舞い戻ってきたじいさんへの疑問のほうが上回った。
そういえばこの騒動の数年前、健康診断で骨年齢が40代と出たじいさんは「あなたの体を研究させてほしい」と言われていたことを思い出した。
戦友も妻ももう誰もいないこの世に何の未練もなく、「いつ死んでもいいのになかなか死ねんもんや」と言っていたじいさん。
「憎まれっ子世に憚るけんね」と自分で突っこんでにやりと笑っていたのだった。